”足”の記憶・・・今昔
先日DeBloemenboogへ行ってきました。
何度もブログに登場していますが、私が修行時代をすごしたお花屋さんです。
その日はボスPeter一人で仕事をしていたので、私はそのまま奥に行き、荷物を置いてコートを脱ぎ、お店の掃除を始めた私。
未だにこの行動は昔と変わらない(笑)。
挨拶をし近況報告をし、たまっていたいろんな話をし、時間はあっという間に過ぎました。
PeterのDeBloemenboogが掲載された本「世界のフローリスト巡り」(エクスナレッジムック )を渡す・・・というビッグイベントもありました(6月10日ブログ・8月3日ブログ参照)・・・もちろんPeterは大満足です。
閉店前、お店の外に出してあるプランツ達を店内に運び片付けるのですが、私ももちろん手伝います。
その時・・・んっ、なんか変・・・?
お店の入り口を、プランツを持って出入りするときに”つまずく”のです、しかも毎回!
何で?と外を見ると・・・夏に行っていたお店の前の大工事(6月10日ブログ参照)で歩道がきれいになり、広がり、そして以前より少し高くなっていたのです。
お店の入り口にはこれまで少し段差(たぶん数センチ)があったのですが、この新しい歩道のおかげで段差もほとんど気にならないくらいになったというわけです。
「Peter!歩道が前より高くなったね!」と思わずPeterに声を掛けました。
Peter「おっ!?気付いたのか?」・・・Thura「もちろんだよ、おかげで毎回変な感じだよ、つまずいてばっかりで(笑)」・・・Peter「僕もそうだったんだよ、さすがに今はなれたけどね・・・でも面白いね、Naomi(本名)まで感じるなんてね、お店を離れてから随分たってるのにね」・・・「私もびっくりだよ、ほら、またつまずいた(笑)!・・・5年って長いんだね(私がお店にいた時間)」・・・
Peterも私もびっくり!!
”足”が覚えていたのは日常のこんな小さな言動、こんな小さな高さのギャップだったんです!
私自身が気が付く前に”足”が気付いたんです。
お店を離れてからもう4年も経つのに・・・です。
なんかすごくないですか?!
お店に並んでいたブーケ(花束)はすっかり秋色、DeBloemenboogらしいシックでディープな色合いです。
もちろんここで育った(学んだ)私のカラー(色)でもあります。
そんなブーケを見ていて、どうしても口に出して言いたい事が・・・もう何度もペーターにも、誰にでも、たぶんこのブログでも言っていることなんですが・・・
「Peter、信じられないね、私は今から9年前にここに来たけど、そのときここ(花束を並べているコーナー)に並んでいたブーケは25ギルダーだったよ。見て!今は25ユーロが平均じゃない?」
Peter曰く、高いものを買う人が増えた、お花自体が高くなった、ユーロになって物価があがった・・・私ももう9年オランダにいるのでよーく分かっていることなんですが、一番身近なお花を見て改めて実感します。
2002年1月1日からユーロ貨幣が流通(銀行などではもう少し前から)。
スーパーもデパートも商店もレストランも、その日をはさんで前後しばらくはギルダー・ユーロの両方の金額を表示していました。
そのときにも多少の便乗値上げがあったとも思いますが、基本的には昨日までと今日からとは値段は変わらないはずなんです。
25ギルダーの花束は11.34ユーロ(1ユーロは2.20371ギルダー)とダブルで表示。
私がお店にいた頃にユーロ通貨に変わったので、その時の煩雑さは良く覚えています。
それが今は普通に25ユーロ(前後)・・・
25ユーロをギルダーにすると55ギルダーですよ、55ギルダー!
55ギルダーのブーケ(花束)のオーダーがあったときには、一体どれだけお花入れましょうって感じで・・・とっても大きなブーケができました。
今では私もすっかりギルダー時代のことは忘れ、ユーロで普通に生活しています。
特に普段比べることも思い出すこともないのですが、お花を見ると急に痛感するこの現実。
オランダ(ヨーロッパ全体?)でもいろんなものがこれだけ高くなっているうえに、ユーロが導入されてから対円でもどんどん高くなっているので、現在日本で仕事をしている私はダブルパンチ(死語?)です。
ユーロについては2006年9月14日ブログにユーロコインについての特集があります。
ところで話は戻って「お花屋さんの単価が上がった理由」・・・これにはやはりお花の供給・流通・需要・消費の変化も大きく関係していると思います。
日本も同じですが、例えばスーパーなど量販店。
今ではスーパーもお花の販売に力を入れています。
スーパーに入っているお花屋さんではなく、スーパー内の一角にあるお花コーナー。
もちろんずっと前から売ってはいましたが、ここ最近だけでも目に見えるほどの”力”の入れよう。
最近のスーパーのお花、かなり充実してきています。
今はスーパー等には、パック花だけでなく素敵に加工されたブーケ(花束)、バラは何色も並んでいます(今のところ小輪のバラ)・・・やはりオランダ、10本や20本単位で売っていますけどね。
苗物、寄せ植え、観葉植物、胡蝶ラン(鉢、日本のとは違ってカジュアルなタイプ)さえも並んでいます。
先日は近所のアルバートハインAH(オランダ大手スーパー)に、私の身長くらいある観葉植物が売られていました(驚!)。
スーパーのお花の今後・・・とても興味深いです。
前出の「アールスメーヤ生花市場」内にも専門の花束加工会社があり(9月23日ブログ参照)、今競り落とされたばかりの鮮度の高いお花が、専門家達によって花束にされ、量販店用など大きな規模で流通しています(加工されて輸出・・・という流れもある)。
お花屋さんは”強敵スーパー”のお花の多品種化、品質向上などに対抗していくために、向かっていく方向の一つが「顧客の差別化」・・・スーパーとは違う何かを表現する必要があるのでしょう。
オランダのお花業界・・・オランダ2大生花市場の合併、生産の大規模化、流通の多様化、消費の多様化・・・これからどんなふうになって行くのか・・・不安でもあり楽しみでもあります。
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