数字で見る「アールスメーヤ生花市場」その2
アールスメーヤ生花市場 BloemenVeiling Aalsmeer についての続きです。
今回は「競り」に関して。
アールスメーヤ生花市場には5つの競り部屋(切花用は4つ)、13のクロック(競り場)があります。
1つの競り部屋では複数の競りが行われています。
部屋をのぞくと2・3の大きなスクリーン(クロック)が雛壇状に並んだバイヤー席の前方にあります。
そのスクリーンの下にはレールが敷かれており、トローリーの乗ったお花が競り部屋の外から流れてきて、スクリーンの情報と共に競らせ、また部屋の外へ流れて出て行きます。
そのときのスピードは人間が歩く速さと同じくらい。
バイヤー達の前で停まることなく、どんどん流れるようにお花が次から次へやってきます。
専門の資格を持ったバイヤーは、前面の複数のクロックをすごいスピードでチェックし、必要なお花をどんどん競り落としていきます。
競り部屋は観光客でも窓越しに見学ができます。
瞬時に競下げられる値段、生産者情報、お花のサイズ、本数・ロット、品質・クラス・・・
写真は見学コースから見る競り部屋のガラス窓に張ってあるクロックの説明です。
私は何度も見学していますが、いつも半分すら情報をチェックできないまま、どんどん次のお花の競りへ移っていってしまいます。・・・本当に速い。
将来的にはレールによって流れてくるお花はなくなり、スクリーンだけの情報で競りをするシステムへ移行するとのことです。
さらなるスピードアップ、取引量アップを目指しているとのことです。
アールスメーヤ生花市場の取引では1000人を超えるバイヤーがお花を競っているそうです(コンピュータシステムを使った遠隔地からの競りKopen op Afstandを含む)。
ところでこの競りに参加しているバイヤーはお花屋さんかというと・・・基本的にはそうではありません。
仲卸問屋、輸出会社、加工会社(花束加工など)・・・などがクロックで買っています。
お花屋さんは多くの場合仲卸問屋などでお花を購入しています。
私が働いていたDeBloemenboogのボスPeterはクロックでお花を買っていますが、他のお花屋さんへお花を卸したりもしています。
やはり1件のお花屋さんだけで取り扱うには量が多すぎるようです。
さて、アールスメーヤ生花市場で取引されているお花・・・取引の85パーセントが輸出用です。
ほとんどは約1500キロ圏内のドイツ・イギリス・イタリア・スペイン・ロシア・東欧などの各国へ、その日のうちに輸送され、問屋さん、量販店、お花屋さん等に並びます。
もちろん日本やアメリカ等へも輸出されています。
これだけのお花を管理し、流通させるには人手もすごいに違いない・・・さてここで働く人々はいったいどのくらい?
アールスメーヤ生花市場へ見学に行くとすごく疑問に思います・・・「この広い市場内に一体何人くらいの人が働いているのだろう・・・」。
レールに沿って無人でトローリーのお花が動いているとはいえ、たくさんの人がお花と共に動き回っています。
アールスメーヤ生花市場に勤める人々・・・競り関係、物流、品質管理などに関わっている人たち・・・約2000人!
そして花市場の敷地内には数え切れないくらいの輸出会社、加工会社、仲卸・・・が並んでいます。
そこで働く人々は12000人というからびっくりです。
本当に大きな大きなアールスメーヤ生花市場。
数字で見るアールスメーヤ生花市場は、あまりにも規模が大きすぎて、さらにわけが分からなくなります。
やはり一度その目で見て体験するのが一番。
あの空気、あの温度、あの空間、あの音、あのざわめき、あの匂い、そしてあのお花達・・・
私はこの空気や音、匂いでアールスメーヤ生花市場にいることを実感します。
見学は月~金曜日、午前7時~11時、入場料5ユーロ(団体15人から:4ユーロ)・・・左の写真のような冊子(英語)をもらえます。
アムステルダム中央駅 Amsterdam Centraal Station からはバス172番で約1時間(5ゾーン)。
*すべてのデータ・情報は2007年9月現在
Bloemenveiling Aalsmeer オフィシャルサイト
BloemenVanThura HP 「Holland情報」コーナー でもアールスメーヤ生花市場を過去に特集しています。
・・・と、アールスメーヤ生花市場について書いてきましたが、いろいろ調べて記事を書いている最中の先日2007年9月20日、新しい時代へのビッグニュースが発表されました。
オランダにある2大生花市場、アールスメーヤ生花市場とフローラホーランド生花市場の合併が正式の承認され、来年1月から新体制スタート予定だそうです。
以前からあった話で、初めて聞いたときにはすごく驚いたのですが、ついにそのときが来ますね。
この合併により名前は「フローラホーランド」となり、従業員は3800人、ヨーロッパでのシェアは30%になるそうです。
ちなみにロゴは現在のアールスメーヤ生花市場のロゴになるそうですよ。
お花の国オランダ・・・時代も経済環境もどんどん変化していきます。
5年後10年後20年後・・・いったいお花業界はどうなっているんでしょうね。
日本も・・・
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G.G.様、コメントありがとうございます。
ビックリですよね。
今後はどうなっていくんでしょうね。
市場の合併は、市場が「なくなる」のか「大きくなる」のか、微妙ですが、日本でも大小は別にしてありますよね。
詳しいことはわかりませんが。
花市場だけでなく、流通・消費・・・環境の変化をすごく感じます。
とても興味深いオランダ・世界のお花環境です。
投稿: thura | 2007/10/04 08:09
最後の記事
「なんてこったいって」感じです
びっくりです
どうなっていくのでしょうか
面白くもあり不安もありっていうところです
日本でもすぐ真似したがる人もいますし・・・
市場が合併でなくなっていったらと思うと
ぞっとします。
投稿: G.G. | 2007/10/03 07:53